音楽ファイルの管理は全てiTunes
僕は持っている音楽はすべてiTunesで管理していて、基本的に全てAIFFで取り込んでいます。
なぜならWAVファイルはジャケットやタグ情報を全く保存できず不便だからです。
AIFFなら無圧縮だしジャケットや楽曲情報などを登録できるというメリットがあります。
しかし、AIFFが便利とは言え無圧縮音声はファイルサイズが大きいのです。
そしてサンプリングレートが48kHzや96kHzのハイレゾ音源が販売されているような現代では、一曲あたりのファイルサイズはさらに大きくなります。
いくら最近のHDDが数テラバイトになったとはいえ、楽曲総数が万単位になってくると曲だけで1TBを超えてもおかしくありません。
参考までに言っておくと大体25000曲で1TB近かったです。(ファイル形式混在)
なのである日を境にCDを取り込む際はApple Losslessを使用する様になりました。
しかしCDを買えば買うほど曲は増える一方で、やはりHDDは減っていきます。
だから今度は昔取り込んだAIFFをApple Losslessに置き換えることを思いつきました。
再変換を嫌っていたのでAIFFとして取り込んだファイルをApple Losslessに再変換すると音が劣化するんじゃないと思い、棚からCDを引っ張り出し、ディスクを一枚一枚取り込み直していました。
取り込むのも時間が掛かるし、ディスク入れ替えもめんどくさい、時には一致しない楽曲情報をCD側にわせて書き換えたりもしました。
CDの楽曲情報とiTunes側の曲名、アルバム名、アーティスト名などが完全に一致しないと置き換えずに新しい楽曲として取り込んでしまうんですね。
最初は頑張っていましたが一日に取り込める枚数は知れています。相手は万単位の曲数です。
そして運命の日、その日は幼馴染が遊びに来ていました。
僕はその幼馴染と喋りながら、CDを取り込み直していました。
「この取り込み直しめっちゃめんどくさいんだよねー」と愚痴をこぼすと幼馴染は「なんかそれ一回でできる方法ないの?」と聞いてきました。
なので「iTunesで一括変換自体はできる、でもそれだと再変換になって劣化するから嫌なんだ」と伝えると
「そんなの一緒だよ別に劣化なんてしないよ」というのです。
そして続けて「仮に、多少劣化したとして全て取り込み直すのに何日かかるの?時間がもったいないよ、その時間で絶対いろんなことできるよ?」となんとも心に刺さる言葉を投げかけてきます。
それでも音にこだわる者として再変換は嫌だと抵抗し続けていると
「じゃあ実験してみようよ、本当にに劣化するのかどうか、何か方法ないの?」と彼は言いました。
しばらく考えた末、DAWに取り込んで位相を反転させ無音になれば無劣化と言えるのではないかと伝えると。
「ファイルサイズも見比べよう、一致したらきっと同じファイルだ、あと最終チェックを自分の耳ですれば間違いない」と言うので彼に乗ることにしました。
条件はこうです。
「CDから直接取り込んだAIFFファイル」と「CDから直接取り込んだApple LosslessファイルをAIFFに再変換したファイル」のどちらか片方を位相反転させ無音になるかどうかを調べる。
この時、ファイルサイズが同じかどうかを見る。
その後自分の耳でチェックし同じ音質であることを確かめる。
エンコーダーは全てiTunesのものを使用する。
そうして検証がスタートしました。
検証開始
検証その1 「位相反転」
まずDAWに二つのAIFF取り込み片方を位相反転させます。
結果は全くの無音でした。
検証その2 「ファイルサイズを比べる」
次にファイルサイズを見比べて見ます。
するとどうでしょうファイルサイズが違っているではありませんか。
CDから直接取り込んだAIFFは「43,829,446 バイト」
CDから直接取り込んだApple Losslessを再変換したAIFFは「43,869,162 バイト」
やっぱり何らかの変化はあるんだと思いました。
またしばらく考え、もしかしたらこれはAIFFの持っているタグ情報の差ではないかと思い、ジャケット情報を消し、曲名やアーティスト名などの情報を同じにしてみました。
しかしこれでもファイルサイズは同じになりませんでした。
またしても行き詰った僕らはしばらく沈黙しました。
ちょっとまてよ?AIFFだからだめなんじゃないか?
WAVファイルにすれば手の届かない所のタグ情報も全てが失われて純粋な音声データになるのでは?
するとどうでしょう、今度は1バイトの狂いなく全く同じサイズになったではありませんか。
二つのWAVファイルは「43,827,212バイト」で検証に使ったどちらのAIFFよりもファイルサイズが減っていました。
タグ情報が全て失われたとすれば当然のことですね。
検証その3 「再度、位相反転」
一応二つのWAVファイルもDAWに取り込んで位相を反転させてみます。
全くの無音です。
検証その4 「自分の耳で確かめる」
最後は、自分の耳です。
一曲ずつ聴いてみます。
全く同じに聞こえます。
結論
無圧縮の音声や可逆圧縮の音声をお互いに再変換しても音質は劣化しない。
その後複数回に分けて約15000曲のAIFFをApple Losslessに変換した所、942GBあったものが728GBまで下がりました。(なんと214GBも空いた!)
さすがに万曲単位の変換ですので数日かかりましたが、もしあのままCDを一枚一枚取り込み直していたらと考えたらゾッとします……。
単純計算で一日10枚程度取り込める計算だと約半年もの時間が浮いたことになります。
もし同じようなことを考えている人がおられましたら迷わず再変換してください。
あなたの大切な時間をCDの取り込み直しで費やすことはありません。
もしお気づきの点など有りましたらコメントなどお待ちしております。
コメントへの返信
大変ためになる検証実験をweb公開いただきありがとうございました。
これで私も迷わずALAC一本にする決意が出来ました。ちなみにCDリッピングにおけるドライバーやソフトウエアの違いについてはどうお考えでしょうか?
ひろさんのコメント(2022年5月19日 8:38 AM)
CDリッピングのドライバーもどんどん高級化していてその度にリッピングし直した方が良いのでは?と考えるのはゾッとしますね。
なかなか難しい質問ですね。
私見を申し上げるとするならば、もし2つの異なったソフトウェアによる取り込みで音の違いがあるのであれば、CDの中身と比較した場合、「どちらかが間違っている」もしくは「どちらも間違っている」ということになります。
しかしエンドユーザーの私達にはどちらが正しいのかは知りえません。となるとどのソフトウェアで取り込んだ音が好きなのかは結局好みという事になってしまいます。
そして私の場合は、どちらが正確なのかではなく、Appleの音を標準として自分の中に定めると決めたのです。(あとファイルの管理性能も重要です。)
なぜならAppleは独自規格を制定するほどのプラットフォーマーです。いつ開発が途絶えるかわからない個人ではありません。
そしてAppleが作ったエンコーダーをAppleが使わない訳はないと思いますので、Appleミュージックの音はAppleのエンコーダーを通った音だと思います。
最新の音に合わせるということであればAppleを基準にするのは悪くないのではないでしょうか。
ドライバーに関してはおそらくCDドライブの読み取り性能のことだと思ってお答えしますが、CDは規格化されたデジタルデータですので今と昔で読み取りにそれほどの誤差があるとは思いません。
差異があるとすればCD自体のキズなどによる読み取り不良でエラー訂正を通り越して音声データが補完されてしまった場合でしょう。訂正は復元なので全く同じデータですが補完はいわゆる捏造です。おそらく不自然な補完がなされたときにノイズになるのでしょう。
個人的にはHDD内のデータが破損でもしないかぎり取り込み直しをする事はないと思います。
コメント
大変ためになる検証実験をweb公開いただきありがとうございました。
これで私も迷わずALAC一本にする決意が出来ました。
ちなみにCDリッピングにおけるドライバーやソフトウエアの違いについてはどうお考えでしょうか?
CDリッピングのドライバーもどんどん高級化していてその度にリッピングし直した方が良いのでは?と考えるのはゾッとしますね。
AIFFとALACで音質が違うPioneer XDP-20の件について、問い合わせようと思ったら、
なんと今年の3月にオンキョーが倒産していて、サポートが打ち切られていました。
まあ、1TBのmicroSDカードが使えるので、AIFFで統一し、この件は気にしない事にします。
iTunesでAIFFで取り込んでも、Music Center for PCでFLACで取り込んでも、Windows Media PlayerでWAVで取り込んでも、
Audacityで位相反転してみると全くの無音で、劣化が無かったです。
何ならPCを使わずに、リビングのTVのブルーレイレコーダーのCDリッピング機能を使用し、FLACで取り込みましたが、
これも、PCで取り込んだ音源と同一で、位相反転したら無音でした。
ロスレス形式である以上、何のソフトを使ってCDを取り込んでも劣化はないし、
PCではなくブルーレイレコーダーでCDを取り込んでも劣化がないようです。
ただ、CDに意図的に傷を付けてiTunesで取り込み、位相反転させると、無音ではなく、プチッ、プチッ、という音が聞こえました。
CDの傷は確実に音質に影響しています。CDは丁寧に扱いましょう。
PioneerのXDP-20使ってます。
いつもiTunesでAIFFで取り込んでいます。
元々はAppleロスレスで取り込んでいたのですが、AIFFに一括変換しました。
なぜAIFFで取り込んでいるか。
それは、XDP-20でAIFFを再生させるのとAppleロスレスを再生させるのでは、どうにも音が違うんですよ。
もちろん、再生させるデータは同じなんですし、私もAudacityというソフトを使って同じ実験をし、AIFFとALACは同じデータである事も分かっておりますし、
PCやウォークマン、iPhone、iPod touch、iPad、Xperia、Samsungなどで再生すると、劣化もなく同じ音に聞こえます。
Pioneer XDP-20だけ、違う音に聞こえるので、本体内部でのデータ処理の方式が違うのかなって勝手に想像しています。
でも、ハイレゾプレーヤー名乗ってるわけですし、同じデータのはずの音源で音が違うのは流石に問題だと思いますけどね。